時々思い出す



おじいちゃんが、死んだときのこと。



薄暗い、病院の中で
母の泣く声がひびいていた


去年の春は、法事だった
おじいちゃんが大好きだったうなぎを、みんなで食べた
おばちゃんが、おじいちゃん、よろこんではるわって
笑ったんだ


彼の最後の、言葉は
ビール一杯と、にしんそばがたべたいなあ、だった
食道がんで、亡くなる2年前くらいから、
なにも食べられなくなってしまったおじいちゃん


食べるのが、大好きだった人


こないだ、友達と一緒に飲んだ
芋焼酎を片手に酔っ払ってその話をしたら
気づいたら、その子は泣いていた


ありがとう、ってそう思ったんだ
おじいちゃん、きっとわたしの隣で
喜んでたと思うんだ


いつか、にしんそばを食べようね
あのお店で


おいしい、にしんそば。


おじいちゃんに会いたいなあ。