■
時々思い出す
おじいちゃんが、死んだときのこと。
薄暗い、病院の中で
母の泣く声がひびいていた
去年の春は、法事だった
おじいちゃんが大好きだったうなぎを、みんなで食べた
おばちゃんが、おじいちゃん、よろこんではるわって
笑ったんだ
彼の最後の、言葉は
ビール一杯と、にしんそばがたべたいなあ、だった
食道がんで、亡くなる2年前くらいから、
なにも食べられなくなってしまったおじいちゃん
食べるのが、大好きだった人
こないだ、友達と一緒に飲んだ
芋焼酎を片手に酔っ払ってその話をしたら
気づいたら、その子は泣いていた
ありがとう、ってそう思ったんだ
おじいちゃん、きっとわたしの隣で
喜んでたと思うんだ
いつか、にしんそばを食べようね
あのお店で
おいしい、にしんそば。
おじいちゃんに会いたいなあ。